「2024年問題さえ乗り切れば、あとは落ち着くだろう」——そう考えていた経営者ほど、今の現場とのギャップに驚いているはずです。
実際には、2024年は“終わり”ではなく、“本番前の号砲”でした。
本格的な影響が出てくるのは、2025年4月1日から順次施行されている、いわゆる「物流関連2法」の改正です。
物流関連2法で、何が問われているのか
今回の改正は、次の2つを軸に進められています。
- ① 物流総合効率化法(物流効率化法)
- ② 貨物自動車運送事業法
これらを通じて、
- ■ 荷待ち・荷役時間の削減
- ■ 多重下請け構造の是正
- ■ 適正運賃・原価の確保
といったテーマが、荷主と運送事業者の両方に突きつけられています。
簡単にいえば、
「ドライバーの長時間労働のしわ寄せで、物流全体を成立させるやり方はもう終わりにしよう」
という、国からのはっきりとした意思表示です。
運送会社がまず押さえるべき「3つのポイント」
細かい条文は専門紙に譲るとして、運送会社の社長・管理者が押さえておきたいポイントを、ここでは3つに整理します。
① 「荷主も当事者」になる時代へ
1つ目は、荷主側への規制・努力義務の強化です。
これまでも荷主勧告制度などの枠組みはありましたが、実際に荷主が罰則を受けるケースは多くありませんでした。その結果、
「運送会社が時間と人で何とかする」ことで、現場は回ってきた——
というのが、率直な実態だったはずです。
改正後は、第一種・第二種荷主を含むあらゆる荷主に対し、
- ■ 荷待ち・荷役時間の短縮
- ■ 積載率の向上
- ■ 多頻度・小口化に対する工夫
などに取り組む努力義務が課されます。さらに、一定規模以上の事業者には、
- ・物流統括管理者(CLO)の選任
- ・中長期計画の策定・報告
の義務化が進んでいます。
つまり、
「荷主が物流を外注すれば責任から逃れられる時代」は終わる
ということです。
これからは、荷主と運送会社が一緒になって、物流の効率化と運転者の働き方改善に向き合わざるをえない土俵に乗せられます。
ここを正しく理解しているかどうかで、荷主との会話の質は大きく変わります。
② “多重下請け構造”と実運送体制の見える化
2つ目は、多重下請けの是正と、実運送体制の見える化です。
いまの日本の物流は、
- 元請け → 一次下請け → 二次下請け → 個人事業主…
という構造が当たり前のように存在しています。その過程で、
- ・運賃が削られる
- ・情報が抜け落ちる
- ・最後に仕事をする実運送会社とドライバーに、無理とリスクが集中する
という構造が、長年の課題でした。
改正2法では、この構造にメスが入ります。
どの荷主からどの運送会社まで委託が連なっているのか、最終的に誰がトラックを走らせているのか、
どの条件・どの運賃で走っているのかを、「実運送体制管理簿」などで把握し、必要に応じて行政が指導・公表できる枠組みが整えられつつあります。
ここで問われるのは、
- 「うちは元請けだから関係ない」
- 「うちは下請けだから言われる側だ」
という姿勢そのものです。
今後は立場にかかわらず、
- ・誰に、どの運賃で、どんな条件の仕事を出しているか/受けているか
- ・その結果、現場でどれだけ無理や無駄が生じているか
を、数字と記録で説明できるかどうかが、取引継続の条件になっていきます。
③ “適正運賃・適正原価”を数字で説明する時代
3つ目は、「適正運賃・適正原価」という考え方が、本格的に前面に出てくる点です。
これまでも、トラックGメンの監視や標準的な運賃の告示など、「安すぎる運賃の是正」に向けた動きはありました。
しかし現場の実感としては、
- 「標準的な運賃と言われても、うちの現場の実態とはズレている」
- 「結局、荷主との力関係で決まってしまう」
という声が根強かったはずです。
改正後は、次のような要素を踏まえたうえで、
- ■ 荷待ち・荷役時間
- ■ 拘束時間(運転+付帯作業+待機)
- ■ 走行距離・積載率
- ■ 必要な人件費・燃料費・車両償却費
などを前提に、「なぜこの運賃が必要なのか」を説明しやすくする枠組みが整えられていきます。
ただし、ここで決定的に重要なのは、
「国が勝手に計算してくれる」のではない
ということです。
枠組みはあくまで枠組み。
実際に数字を出し、荷主との交渉の場に持ち込むのは、各運送会社の仕事です。
では、運送会社は何から手をつけるべきか
ここまで読むと、
- 「結局、法律の話じゃないか」
- 「条文を追っても現場は変わらない」
と感じたかもしれません。その通りで、法改正そのものを細かく暗記する必要はありません。
大事なのは、
「この方向性のもとで、うちの会社は何を整えておくべきか」
を決めて動くことです。
最初の一歩として、次の3つをおすすめします。
STEP1:まず“現状を見える化”する
いきなり完璧なシステムを導入する必要はありません。
エクセルでも紙でもいいので、まずは実態を数字でつかむことです。
- ■ 荷待ち時間を、荷主・拠点別にざっくり出す
- ■ 1運行あたりの拘束時間と実運転時間を出す
- ■ 低単価・高負荷のルートを洗い出す
「感覚的にはきつい」と分かっている仕事でも、数字にしてみると、
“どの荷主の、どの案件が一番キツいか”がはっきりします。
ここまで来ると、ようやく「どこから交渉すべきか」「どこは撤退も視野か」が見えてきます。
STEP2:書面と記録をそろえる
次に、書面と記録の整理です。
- ■ 運賃や条件を、口頭だけでなくメール・見積書・契約書などで残す
- ■ 誰にいくらで出し、どの条件で受けているかを一覧化する
将来的に実運送体制管理簿の整備や行政からの調査が入ったとき、
「うちはきちんとやっています」と胸を張って言える状態をつくっておく。
これは、法令対応であると同時に、自社のリスク管理でもあります。
STEP3:「適正運賃を説明するための素案」をつくる
最後に、適正運賃の素案づくりです。
いきなり全ルートを精密に計算するのは無理があります。まずは、
- ■ 上位数社の主要荷主
- ■ 主力路線・象徴的な“きつい案件”
から絞って、
- ■ 拘束時間
- ■ 走行距離
- ■ 荷待ち
- ■ 必要な人件費
をもとに、「本来これくらいほしい」という単価感覚を数字で出してみる。
ここまでやると、荷主との会話がガラッと変わります。
デジタコ・動態データは“交渉の武器”になる
この3ステップのカギになるのが、デジタコや動態管理のデータです。
紙の運転日報とドライバーの記憶だけで、
- 「だいたいこれくらい待っている」
- 「このルートはきつい」
と主張しても、説得力には限界があります。
一方で、デジタコの運行データを整理すれば、
- ・荷主Aの拠点では、平均○分の荷待ち
- ・この路線は拘束○時間に対して単価がこれだけしかない
- ・同じ条件でも、待機時間が少なく安全運行している“模範パターン”
といった“事実”が浮かび上がるようになります。
これは、単なる管理のための数字ではなく、
- 「なぜこの運賃が必要なのか」
- 「どこを改善すれば両者にメリットが出るのか」
を荷主と一緒に考えるための、共通言語になります。
中央矢崎サービスが一緒にできること
とはいえ現場からは、
- 「デジタコは入っているけれど、データの出し方がわからない」
- 「忙しくて分析まで手が回らない」
という声も聞こえてきます。
ここを現場任せ・個人任せにすると、せっかくの法改正が“しんどいだけ”で終わってしまう危険があります。
中央矢崎サービスとしては、
- ■ YAZAKIデジタルタコグラフの導入・リプレイス
- ■ 運行データの抽出と、見やすいレポートテンプレートの作成
- ■ 荷待ち・拘束時間・走行距離を整理した「荷主交渉用シート」の作成支援
- ■ 将来の実運送体制管理簿や監査にも耐えうる、「残すべき記録」の設計
といった形で、「法律対応」と「利益改善」をセットで支えることができます。
2026年は「ルール地図が塗り替わる年」
法改正の波は、誰にも止められません。
しかし、その波を
- 「単なるコスト増」と見るのか
- 「ちゃんとやっている会社が報われるチャンス」と見るのか
で、5年後の姿はまったく変わります。
2026年は、物流会社にとって「ルール地図が塗り替わる年」です。
この機会に一度、自社の運行と取引の実態を見える化し、
守るべき安全とルールをきちんと守りつつ、
必要な運賃を堂々と求められる会社へと、舵を切っていきましょう。
中央矢崎サービスは、その舵切りを、現場のすぐ隣で支えるパートナーでありたいと考えています。
「2024年問題さえ乗り切れば、あとは落ち着くだろう」——そう考えていた経営者ほど、今の現場とのギャップに驚いているはずです。
実際には、2024年は“終わり”ではなく、“本番前の号砲”でした。
本格的な影響が出てくるのは、2025年4月1日から順次施行されている、いわゆる「物流関連2法」の改正です。
物流関連2法で、何が問われているのか
今回の改正は、次の2つを軸に進められています。
- ① 物流総合効率化法(物流効率化法)
- ② 貨物自動車運送事業法
これらを通じて、
- ■ 荷待ち・荷役時間の削減
- ■ 多重下請け構造の是正
- ■ 適正運賃・原価の確保
といったテーマが、荷主と運送事業者の両方に突きつけられています。
簡単にいえば、
「ドライバーの長時間労働のしわ寄せで、物流全体を成立させるやり方はもう終わりにしよう」
という、国からのはっきりとした意思表示です。
運送会社がまず押さえるべき「3つのポイント」
細かい条文は専門紙に譲るとして、運送会社の社長・管理者が押さえておきたいポイントを、ここでは3つに整理します。
① 「荷主も当事者」になる時代へ
1つ目は、荷主側への規制・努力義務の強化です。
これまでも荷主勧告制度などの枠組みはありましたが、実際に荷主が罰則を受けるケースは多くありませんでした。その結果、
「運送会社が時間と人で何とかする」ことで、現場は回ってきた——
というのが、率直な実態だったはずです。
改正後は、第一種・第二種荷主を含むあらゆる荷主に対し、
- ■ 荷待ち・荷役時間の短縮
- ■ 積載率の向上
- ■ 多頻度・小口化に対する工夫
などに取り組む努力義務が課されます。さらに、一定規模以上の事業者には、
- ・物流統括管理者(CLO)の選任
- ・中長期計画の策定・報告
の義務化が進んでいます。
つまり、
「荷主が物流を外注すれば責任から逃れられる時代」は終わる
ということです。
これからは、荷主と運送会社が一緒になって、物流の効率化と運転者の働き方改善に向き合わざるをえない土俵に乗せられます。
ここを正しく理解しているかどうかで、荷主との会話の質は大きく変わります。
② “多重下請け構造”と実運送体制の見える化
2つ目は、多重下請けの是正と、実運送体制の見える化です。
いまの日本の物流は、
- 元請け → 一次下請け → 二次下請け → 個人事業主…
という構造が当たり前のように存在しています。その過程で、
- ・運賃が削られる
- ・情報が抜け落ちる
- ・最後に仕事をする実運送会社とドライバーに、無理とリスクが集中する
という構造が、長年の課題でした。
改正2法では、この構造にメスが入ります。
どの荷主からどの運送会社まで委託が連なっているのか、最終的に誰がトラックを走らせているのか、
どの条件・どの運賃で走っているのかを、「実運送体制管理簿」などで把握し、必要に応じて行政が指導・公表できる枠組みが整えられつつあります。
ここで問われるのは、
- 「うちは元請けだから関係ない」
- 「うちは下請けだから言われる側だ」
という姿勢そのものです。
今後は立場にかかわらず、
- ・誰に、どの運賃で、どんな条件の仕事を出しているか/受けているか
- ・その結果、現場でどれだけ無理や無駄が生じているか
を、数字と記録で説明できるかどうかが、取引継続の条件になっていきます。
③ “適正運賃・適正原価”を数字で説明する時代
3つ目は、「適正運賃・適正原価」という考え方が、本格的に前面に出てくる点です。
これまでも、トラックGメンの監視や標準的な運賃の告示など、「安すぎる運賃の是正」に向けた動きはありました。
しかし現場の実感としては、
- 「標準的な運賃と言われても、うちの現場の実態とはズレている」
- 「結局、荷主との力関係で決まってしまう」
という声が根強かったはずです。
改正後は、次のような要素を踏まえたうえで、
- ■ 荷待ち・荷役時間
- ■ 拘束時間(運転+付帯作業+待機)
- ■ 走行距離・積載率
- ■ 必要な人件費・燃料費・車両償却費
などを前提に、「なぜこの運賃が必要なのか」を説明しやすくする枠組みが整えられていきます。
ただし、ここで決定的に重要なのは、
「国が勝手に計算してくれる」のではない
ということです。
枠組みはあくまで枠組み。
実際に数字を出し、荷主との交渉の場に持ち込むのは、各運送会社の仕事です。
では、運送会社は何から手をつけるべきか
ここまで読むと、
- 「結局、法律の話じゃないか」
- 「条文を追っても現場は変わらない」
と感じたかもしれません。その通りで、法改正そのものを細かく暗記する必要はありません。
大事なのは、
「この方向性のもとで、うちの会社は何を整えておくべきか」
を決めて動くことです。
最初の一歩として、次の3つをおすすめします。
STEP1:まず“現状を見える化”する
いきなり完璧なシステムを導入する必要はありません。
エクセルでも紙でもいいので、まずは実態を数字でつかむことです。
- ■ 荷待ち時間を、荷主・拠点別にざっくり出す
- ■ 1運行あたりの拘束時間と実運転時間を出す
- ■ 低単価・高負荷のルートを洗い出す
「感覚的にはきつい」と分かっている仕事でも、数字にしてみると、
“どの荷主の、どの案件が一番キツいか”がはっきりします。
ここまで来ると、ようやく「どこから交渉すべきか」「どこは撤退も視野か」が見えてきます。
STEP2:書面と記録をそろえる
次に、書面と記録の整理です。
- ■ 運賃や条件を、口頭だけでなくメール・見積書・契約書などで残す
- ■ 誰にいくらで出し、どの条件で受けているかを一覧化する
将来的に実運送体制管理簿の整備や行政からの調査が入ったとき、
「うちはきちんとやっています」と胸を張って言える状態をつくっておく。
これは、法令対応であると同時に、自社のリスク管理でもあります。
STEP3:「適正運賃を説明するための素案」をつくる
最後に、適正運賃の素案づくりです。
いきなり全ルートを精密に計算するのは無理があります。まずは、
- ■ 上位数社の主要荷主
- ■ 主力路線・象徴的な“きつい案件”
から絞って、
- ■ 拘束時間
- ■ 走行距離
- ■ 荷待ち
- ■ 必要な人件費
をもとに、「本来これくらいほしい」という単価感覚を数字で出してみる。
ここまでやると、荷主との会話がガラッと変わります。
デジタコ・動態データは“交渉の武器”になる
この3ステップのカギになるのが、デジタコや動態管理のデータです。
紙の運転日報とドライバーの記憶だけで、
- 「だいたいこれくらい待っている」
- 「このルートはきつい」
と主張しても、説得力には限界があります。
一方で、デジタコの運行データを整理すれば、
- ・荷主Aの拠点では、平均○分の荷待ち
- ・この路線は拘束○時間に対して単価がこれだけしかない
- ・同じ条件でも、待機時間が少なく安全運行している“模範パターン”
といった“事実”が浮かび上がるようになります。
これは、単なる管理のための数字ではなく、
- 「なぜこの運賃が必要なのか」
- 「どこを改善すれば両者にメリットが出るのか」
を荷主と一緒に考えるための、共通言語になります。
中央矢崎サービスが一緒にできること
とはいえ現場からは、
- 「デジタコは入っているけれど、データの出し方がわからない」
- 「忙しくて分析まで手が回らない」
という声も聞こえてきます。
ここを現場任せ・個人任せにすると、せっかくの法改正が“しんどいだけ”で終わってしまう危険があります。
中央矢崎サービスとしては、
- ■ YAZAKIデジタルタコグラフの導入・リプレイス
- ■ 運行データの抽出と、見やすいレポートテンプレートの作成
- ■ 荷待ち・拘束時間・走行距離を整理した「荷主交渉用シート」の作成支援
- ■ 将来の実運送体制管理簿や監査にも耐えうる、「残すべき記録」の設計
といった形で、「法律対応」と「利益改善」をセットで支えることができます。
2026年は「ルール地図が塗り替わる年」
法改正の波は、誰にも止められません。
しかし、その波を
- 「単なるコスト増」と見るのか
- 「ちゃんとやっている会社が報われるチャンス」と見るのか
で、5年後の姿はまったく変わります。
2026年は、物流会社にとって「ルール地図が塗り替わる年」です。
この機会に一度、自社の運行と取引の実態を見える化し、
守るべき安全とルールをきちんと守りつつ、
必要な運賃を堂々と求められる会社へと、舵を切っていきましょう。
中央矢崎サービスは、その舵切りを、現場のすぐ隣で支えるパートナーでありたいと考えています。









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